仏壇店に勤めていると、位牌を作りに来店されたお客様から「位牌の相場って、いくら位なの?」とか「ふつうの位牌って、どれ?」といった、質問をよく承ります。
特に、初めて位牌を用意される方ほど、位牌の相場について質問されます。
そりゃそうですよね〜。
ふつうの生活の中で、野菜やお肉を買うように、頻繁に位牌など買いませんから位牌の相場なんてわかるはずがありません。
そこで、お客様が、よく選ばれる位牌の種類と価格等を簡単に紹介しますので、位牌を注文される時の参考になさって下さい。
また、中には「値段が高いほうが良い位牌だ」と思い込んでいらっしゃる方もいます。
まぁ、だからこそ、高いんですけどね。
ですが、本来、値段に関係なく故人や、ご先祖様を偲び、位牌をお選びになるのが1番だと私は思っています。
なぜなら、気持ちはあっても経済的事情で、できるだけ安く位牌を準備したいとお探しの方もいらっしゃるからです。
そんな方のために、少しでもお役立てばと思い「位牌を安く買う方法」も順を追ってご紹介したいと思います。
Contents
位牌の種類と位牌の価格
位牌には、たくさんの種類があります。
その中でも店舗でよく売れている種類は大体下記の5種類です。
もちろん品質(国産・海外産)やサイズによって価格は異なります。
今回は6寸(高さ28.4mm)というサイズの、仏具店頭小売り価格を表示致します。
※小売価格は各地域、各店舗によっても若干異なります。
①千倉座面金6寸:店頭価格¥76,000
②春日楼門6寸:店頭価格¥28,000
③蓮付春日楼門6寸:店頭価格¥80,000
④京中台面金6寸:店頭価格¥31,000
⑤勝美楼門6寸:店頭価格¥15,000
このように、①〜⑤の位牌を見ても、殆どの方は「位牌の形が違うから値段も違うのかな〜」と思われるかもしれませんね。
では、下の写真をご覧ください。
ぱっと見、同じように見える下の2基の位牌の値段が大きく違うのは何故だと思いますか?
位牌:面粉蓮華京型千倉座 2.5x6
¥42,700+税
位牌:極上面粉京型千倉座 2.5x6
¥119,048+税
1基目の位牌は、42,700円で、2基目の位牌は、119,048円です。
値段が約3倍違います。
値段が違う理由は、量産されている位牌と丁寧な仕上げの高野位牌の違いです。
今から約250年前、高野山のお寺へ納めるための造り始められ、山間僻地の冬の仕事として、村落の人々によって伝えられてきた位牌です。ひとつひとつに絶妙の技があり、歴史とともに高野位牌独特の重厚な美しさ、格調高い気品を形成した位牌です。
簡単に言えば「木地彫刻」や「下地研き」「研ぎ出し」「上塗り」などの工程の回数を重ね、手間暇かけて作られた、熟練の名匠の細工による位牌は、本当に美しく、どうしても高額になってしまうのも頷けます。
もし、興味があれば、ご実家や親戚のお宅に行かれた際など、ちょっと、仏壇の中を覗いてみて下さい。上記の位牌があるかもしれません。
(注:浄土真宗は位牌はいりません)
位牌の大きさ選び
また、位牌の大きさも選びも大切です。仏壇に入れた時の状態をイメージして、選びましょう。
※このくらいの大きさの仏壇なら、Bの位牌の方がバランス的にはいいですね。
ただ、ご先祖様の位牌が小さい場合は、ご先祖の位牌の大きさに合わせた方が、いいですよ。
位牌の戒名彫りの価格
位牌が決まったら、次に「位牌に戒名を入れる」という工程があります。
これにも、お金がかかります。
まず、表面に戒名を入れ、裏面に命日、俗名、年齢(数え年)を入れます。
(宗派によって若干異なります)
以前は、1霊ごと職人が手彫りで戒名を彫っていたらしいんですが、近年では機械彫りが主流となっています。
位牌彫り代金の計算は、一般の仏具店ですと「1文字の彫単価x文字数」または「1霊(1人)の彫り価格」で計算されているところが多いですね。
一般的な位牌彫りの配列はこんな感じ。
↓
【位牌 表】には・・・
位牌の表には故人の戒名を彫ります。
戒名が「本栄誉岳信士位」の場合、位牌「表」に彫る文字数は「7文字」になります。
【位牌 裏】には・・・
位牌の裏には、
- 故人の命日
- 俗名(生前の名前)
- 行年(亡くなった時の数え年)
を彫ります。
- 命日は「平成28年1月8日」
- 俗名は「山田太郎」
- 行年は「98才」
この場合、位牌「裏」に彫る文字数の合計は「22文字」になります。
位牌の文字数の合計は「表7文字」+「裏22文字」になります。
もし、一般仏具店に注文した時の位牌彫り代は、1霊(1人)の彫り計算の場合、3,000円~5,000円くらいが相場になります。
また、1文字の彫単価計算の場合、1文字200~300円が相場ですので、表裏合計29文字にあてはめると、位牌彫りにかかる金額は、5,800~8,700円くらいになります。
残念ながら、位牌彫りの価格には明確な基準がありません。
そのため、各小売店の言い値ということが多いんです。
簡単な式にすると、位牌代=(位牌本体価格+位牌彫り代)x1.08(消費税)となります。
位牌をネットで買う?
位牌をネットで買っていいの?と少し疑問に思う方もいるかもしれませんが、まったく問題ありません。
仏具店で売られている位牌も、ネットで売られている位牌も「魂入れ」をする前の状態ですので何ら変わりありません。
強いて言えば仏壇店の場合、店員に相談しながら注文できるので安心感があるかもしれません。
反対に、ネットで位牌を購入する場合「実物を見て検討することができない」「自分で選択しなければいけない」という不安があると思います。
ですが、価格のことだけを言えば、ネット販売は、店舗運営にかかる店舗費用や人件費のなどの経費などがいりません。
それゆえに位牌価格が圧倒的に安いのは事実です。
また、最近は商品もサイズなど、わかりやすく表示されていますので、購入しやすいと思います。
(位牌サイズ表:一例)
ただ、やはり「実物を見てから」じゃないと不安な方は、お近くの仏壇店で実物を見てから、同じ名称で希望サイズの位牌をネットショップで調べて注文するという方法もあります。
特に、ネットショップの場合、購入者の感想や評価が星印などで表示されていますので、それらを目安にすると選びやすいかもしれません。
(購入者の感想・評価一例)
位牌を安く作れるネットショップベスト3は?
とはいえ、たくさんのネットショップの中から探すのは大変だと思いますので、私がオススメするネットショップベスト3をご紹介したいと思います。
小さなお仏壇
位牌本体+文字彫り+送料無料のセットで一律21,000円で、位牌を作ることができます。
ただ、残念ながら位牌の種類は「塗位牌」と「モダン位牌」と「唐木位牌」の3種類しかありません。
また、サイズも3.5寸~5寸までしかありませんのでご注文の際は注意が必要です。
3.5とか4.0と書いてあるサイズは「札高さ」と呼ばれる部分の寸法です。
1寸=3.03cmですので、3.5寸の場合、札高さは「3.5x3.03=10.605cm」となります。それに台座と呼ばれる下の部分の寸法を足して全長となります。
小さな位牌をお探しならいいんですが、大きな位牌をお探しの方には不向きかもしれません。
とは言え、位牌本体と位牌文字彫代、そして送料無料で21,000円とゆうのは、実店舗の半額以下の安さです。
Amazon
大手物販ショップamazonでも「位牌」は販売されています。
amazonで販売されている位牌
「さすが!amazon」と言うくらい豊富な種類があります。
但し、先程も言いましたが、位牌のデザインばかりに気を取られてしまい、サイズを確認せずに注文して、届いた位牌を見てガッカリしないように、気をつけて下さい。
また、amazonでは位牌の追加文字だけも注文できます。
例えば、夫婦位牌の場合、ひとつの位牌に2人の戒名を入れることが多いです。
後から亡くなった方の戒名を入れる場合は「追加彫り」をするだけでいいので、予算もかなり抑えられるはずです。
楽天
楽天にもたくさんの位牌があります。
安い順番に並べてみましたので、チェックしてみて下さい。
また、楽天最安値の位牌もあります。
なんと!送料無料で税込5,525円で位牌が買えちゃいます(驚)
送料無料!税込5,525円で位牌が買える
ただし、サイズは4寸(全長195cm)ですので、お気をつけ下さい。
リアル店舗なら同じ位牌が、税込12,630円(文字彫代含む)します。更に送料を入れると13,000円以上になるのは必須です。
そうやって考えると、ほぼ半額以下になるのですから激安ですね。
まとめ
位牌を安く買う方法は、おわかり頂けましたでしょうか?
位牌という商品は普通の日用品や衣料などと違いますので、値段だけで判断できない部分もあります。
今回、仏壇店に勤めている私があえて「安い位牌を買う方法」をお伝えしたのは、経済状況苦しいのに親戚や兄弟などの声を聞きすぎて「それなりの値段の位牌を買わないと故人可哀想だ」という思い込みを持った方が多いからです。
本当にそうでしょうか?
私は、常々お客様に「亡くなられた方も大事ですが、生き仏さんも大事ですよ」とお話しています。
一番大事なのは、位牌の金額ではなく、故人を尊び慈しむ心だと思います。
あなたの真心に勝る想いはないと私は思っています。
この記事が、少しでもあなたのお役に立つことと、あなたの幸せを心から祈っています。(*^_^*)