仏壇店で働いているプロとして、浄土真宗大谷派のミニ仏壇の飾り方をわかりやすくお話しますね。
浄土真宗と聞くと「金仏壇だね」というイメージをおもちの方も多いかも…?
でも、最近、金仏壇以外の仏壇を購入されるお客様も多くなってきました。
前回の記事はコチラ↓
浄土真宗では金仏壇を用意しないとダメ?仏壇店店員が教えるよ
正直、あなたも浄土真宗大谷派って下のような仏壇だと思っていませんか?
もちろん、こんなに大きな金仏壇ではないかもしれませんが、浄土真宗大谷派の正式な仏具全てをミニ仏壇の中に飾ることはできません。
大きさが違いますからね~。
じゃあ、「ミニ仏壇に合わせて仏具を略式化すればいいじゃないか?」と思いつかれるんですが、この「略式」というのが、クセモノで、
●何を略せばいいのか
●どんな風に略せばいいのか
が、よくわからないのが普通だと思います。
そこで、浄土真宗大谷派の方が、 5分でわかるように、ミニ仏壇に飾るための略式仏具と、飾り方をできるだけわかりやすく、ご紹介したいと思います。
Contents
浄土真宗大谷派ミニ仏壇の飾り方
ミニ仏壇は、大きな仏壇に比べ飾る空間が狭いため、四具足(しぐそく)や前卓(まえちょく)、輪灯(りんとう)や瓔珞(ようらく)など、浄土真宗大谷派の本格的な仏具を飾ることはできません。
そこで、今回、浄土真宗大谷派の、必要な仏具と略式の飾り方の一例として、上置き部分のサイズが幅36cmx高さ71cmの仏壇(下写真)で説明させて頂きます。
仏壇に、飾ってある1~15までの仏具の名称です。
1.阿弥陀如(ご本尊様)掛軸
2.九字名号(左)十字名号(右)
3.華鋲
4.仏飯
5.八角供花
6.花立
7.火立て
8.木蝋
9.見台
10.過去帳
11.線差し
12.香炉
13.りん
14.りん布団
15.りん棒
お時間のない方は、上の画面を仏壇店に持っていけば揃えてもらえます。
(5分すらかかりません(笑))
ただ、それじゃあ、せっかく私の記事を読んで下さっているあなたに申し訳ないので、少しだけ各仏具の意味を紹介させて頂きますね。
1. ご本尊様
浄土真宗のご本尊である阿弥陀如来さまは、絶対に必要です。
必要というより、ご本尊様がなければ、仏壇の意味がないと言っても過言ではありません。
下のような阿弥陀如来像を仏壇の中心に、ご用意されてもいいですし、
下の画像のような、阿弥陀如来さまの掛軸を用意されてもいいです。
阿弥陀如来 掛け軸 浄土真宗大谷派
また、下の画像のように、三幅(さんぷく)をセットでご用意されると、更に良いです。
・中心
阿弥陀如来(あみだにょらい)
・向かって左
九字名号(くじみょうごう)
・向かって右
十字名号(じゅうじみょうごう)
また、最近では、掛け軸を掛けるのに便利な下の画像ような伸縮棒があります。
この伸縮棒は、上の部分がトロンボーンのように伸縮して高さが調整できますし、置いて掛軸を掛けるだけなので簡単なんです♪
実は、家具調のミニ仏壇って、素材が意外と硬くて鋲(ピン)を押すのに苦労することがあります。
その点、この伸縮棒はすぐれもので、大切な仏壇にピン痕が残る心配がありませんし、お掃除の時にも便利なので、オススメ仏具のひとつです。
2. 九字名号と十字名号
1.の内容と少し重複しますが、掛け軸を三幅掛ける場合は、脇掛けとして、九字名号と、十字名号の掛け軸を掛けます。
九字名号とは
九字名号の掛軸には「南無不可思議光如来」という名号が書かれています。
読み方は「なむふかしぎこうにょらい」と読みます。
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)の徳のはたらきをあらわした、この名号は、人間の考えの及ぶことを超えた阿弥陀さまの徳を示したものだと言われています。
十字名号とは
十字名号の掛軸には「帰命尽十方無碍光如来」という名号が書かれています。
読み方は「きみょうじんじっぽうむげこうにょらい」と読みます。
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)の徳のはたらきをあらわした、この名号は、十方のあらゆる世界の隅々まで至り届き、何ものにも妨げられることなく、すべての人々を分け隔てなく救う阿弥陀さまのはたらきを示したものだと言われています。
3. 華鋲(けびょう)
華鋲(けびょう)とは、上の写真の小さなツボのような形をしている仏具のことです。
浄土真宗特有の仏具で、他の宗派は使いません。
・浄土真宗大谷派は磨き(金色)です。
・浄土真宗西本願寺派は色付き(鉄色)です。
4. 仏飯器(ぶっぱんき)
仏飯器とは、仏前においてご飯をお供え(盛る)ための仏具です。
仏壇の上段にスペースがあれば、掛け軸の中心と両脇掛けの前に各1個(計3個)お供えしてもいいのですが、ミニ仏壇の場合、ほとんどスペースがありませんので、中心のご本尊さまの前だけでも構いません。
ちなみに、浄土真宗大谷派は磨き(金色)です。
置くスペースがあれば、仏器を仏器台に乗せるのが正式です。
また、浄土真宗西本願寺派は、下の写真のような色付き(鉄色)です。参考までに・・・
5. 八角供花(はっかくきょうか)
八角供花(はっかくきょうか)とは、浄土真宗大谷派でお餅や落雁やお菓子などお供えするための仏具です。
ちなみに、浄土真宗西本願寺派は六角供花です。
浄土真宗では、総して供笥(くげ)とも呼ばれています。仏壇二段目の両脇に飾ります。
ただ、残念なことに小さな八角形なのでお供え物が少ししか置けません。
そのため、八角供花の代わりに朱(しゅ)色(紅色)の高月という仏具を使われる方もいます。
(下図参照)
6. 花立て(はなたて)
花立は、当たり前ですが季節のお花を飾ります。
花は、極楽浄土を現しますので、できれば生花がいいのですが、ご高齢の方や、夏場の暑い時期は水が腐り花が傷みやすいので、造花を飾っていらっしゃる方もいます。
また、花立の色は、浄土真宗大谷派は磨き(金色)です。
花立を単品でお求めになってもいいんですが、浄土真宗西本願寺派の場合、
7番の火立てと12番の香炉とを合わせて、三具足(みつぐそく)のセットとして購入することもできます。
ご予算に余裕があれば、こちらの三具足の方がより浄土真宗大谷派らしい三具足です。
どちらの三具足を使われても間違いではありません。
仏壇に並べた時のバランスやご予算などを考えながらお決め下さい。
7. 火立て
火立ては、ローソクを立て火を灯す仏具です。ローソクの灯りは「ご本尊さま(仏さま)から、知恵を頂くためにある」とも言われているんですよ。
本物のローソクの灯されてもいいんですが、仏壇の中で灯すと危険ですので、膳引きや経机の上など、仏壇の外で灯すようにした方が安全です。
火立ての色は、前項の「花立」同様で、磨き(金色)です。
火立てを単品でお求めになってもいいんですが、浄土真宗西本願寺派の場合、
6番の花立てと12番の香炉とを合わせて、三具足(みつぐそく)のセットとして購入することもできます。
ご予算に余裕があれば、こちらの三具足の方がより浄土真宗大谷派らしい三具足です。
どちらの三具足を使われても間違いではありません。
仏壇に並べた時のバランスやご予算などを考えながらお決め下さい。
8. 木蝋(もくろう)
木蝋は、ローソクに火を灯さない時に、擬似的に飾るローソクです。
朱色の木製品がベストですが、プラスチック製でも構いません。
火立ての大きさに見合った木蝋を用意しましょう。
9. 見台
見台とは、過去帳を乗せる台です。
わかりやすく例えると、楽譜を置く譜面台のような役目の仏具です。
ミニ仏壇の場合、足の長い見台は不安定ですので、重心の安定した低見台をオススメします。
また、下の画像の両側の突起してい形状(赤丸)は、過去帳を開いた時、閉じないように押さえの役割があります。
見台の大きさは、過去帳とのバランスが大切です。
大きな過去帳を小さな見台に乗せると、ひっくり返る可能性があります。
購入の際は、上の画像のように、過去帳をのせて確認してから購入されるといいと思います。
10. 過去帳(日入り)
過去帳とは、お亡くなりになった方の戒名・没年月日・年齢などを記載した帳簿です。
浄土真宗西本願寺派、大谷派共に、必ず日入りの過去帳(罫線の上に日付が入ったもの)を使います。
二十 → 廿
三十 → 丗
で書かれています。
基本的に、過去帳への記入は、お寺のご住職に頼んで書いて頂いたり、ご在家で字の得意な方に書いて頂けばいいんですが、お寺のご住職にお願いした場合、若干の筆耕料が必要かもしれません。
また、さきほど「字の得意な方」と書きましたが、得意じゃなくても心を込めて書けば、故人の方は喜んで下さると思います。
別にコンクールに出品するわけではないのですから、あまりむずかしく考えず、故人を偲び、尊びながら書くことが大切だと思います。
11. 線差し
線差しとは、線香を立て入れておく仏具です。
お線香は、箱から直接取ると、折れやすく全部の線香が湿気を帯びるのが早くなってしまいます。
線香がしけると、カビが発生し、不快な香りになってします。
そんなことをできるだけ防ぐ意味でも、少量(10本前後)を線差しに入れておき、使う量だけをその都度、補充されることをオススメします。
12. 香炉
香炉は、できれば浄土真宗大谷派の宗紋(抱き牡丹)の描いてある透かし香炉が理想です。
浄土真宗は、線香は立てずに横に寝かせて使います。
宗紋入りの香炉以外にも、下の写真のような色付きの香炉もお使いになれます。
13. りん
りんを選ばれる時は、必ず叩いてみて、あなたの耳で確認することをオススメします。
よく私はお客さまに「香りと音色は嗜好品ですから」とお話しするんですが、ご夫婦でも親子でも好みが違います。
仏具を選ぶにあたって、色や大きさ形など好みはさまざまですが、りんは特に好きな音色のものを選んだ方がよろしいですよ。
日々、お仏壇の前で叩くわけですから、りんの音色を聞くたびに
「あ~、いい音色だなぁ」と思うのと、
「う~ん、イマイチの音色だな」と思うのとでは雲泥の差があります。
もし、よければ、りんの綺麗な鳴らし方とりんの音色を実録した記事がありますので、ご覧になってみて下さい。
◆仏壇のりんの綺麗な鳴らし方教えます!動画で音も聞けますよ◆
14. りん布団
りん布団とは、りんのお座布団です。
色々な色や柄の生地で作られています。りんを傷つけない役割はもちろん、りんの音の余韻を守るためにもあるように私は思います。
消耗品ですので、破れたり色があせてきたら買い替えるようにしましょう。
浄土真宗大谷派 りん布団
正式には、上記金襴輪を、下図の角りん台の上にのせて使います。
とはいえ、ミニ仏壇の場合、スペースに限りがあるのでこだわりすぎる必要はありません。
15. りん棒
りん棒とはりんを叩き音を出す棒です。
りん棒の多くは、紫檀や黒檀などの硬い唐木の棒に金襴の布を張った、金襴巻りん棒と、白い皮を張った皮張りん棒があります。
金蘭巻りん棒
皮張りん棒
りんのためには、皮張りのりん棒の方が優しいと言われていますが、りんとりん棒のバランスを見ながら選びましょう。
浄土真宗西本願寺派ミニ仏壇の飾り方の実例
実際に、浄土真宗西本願寺派でミニ仏壇を購入たお宅の画像です。
ミニ仏壇と呼ぶには若干大きいんですが、幅80cmくらいの地袋の上に設置された実例です。
床の間の横にコンパクトに収まり、とても気に入っていらっしゃいます。
あとがき
浄土真宗大谷派仏壇の飾り方は、おわかり頂けましたでしょうか?
浄土真宗西本願寺派の方はこちらの記事を参考になさって下さい。
浄土真宗西本願寺派のミニ仏壇の飾り方!プロが5分で解説します
できるだけ、わかりやすく書いたつもりですが、もしわからないことがございましたら、コメント欄でもいいですので、お気軽にご質問下さい。
(*^_^*)v
今回、ご紹介した飾り方はミニ仏壇用の略式ですが、あなたの真心があれば素晴らしいお飾りになると思います。
この記事が少しでも、あなたのお役に立つことと、あなたの幸せを心から祈っています。