こんにちは。
仏壇店で働いている あだちよ です。
お葬式やお盆や法事でお寺さんに読経をお願いされた経験のある方は、
「どうして、お布施ってあんなに高いの?」と疑問に感じられたことがあると思います。
時々、店に来てお布施の愚痴をおっしゃるお客様もいらっしゃいますが。(笑)
実際、お布施の金額をお聞きしても「お気持ちで」とおっしゃるご住職がほとんどですし、
お寺に行っても、壁に料金表が貼ってあるわけではないので、
お願いする方としては、あまり多く包むと生活が厳しくなるし、かといって少ないと恥ずかしいし・・・という心の葛藤をされる方もいらっしゃるかもしれませんね。
実は、先日奥様の十三回忌を無事終えられたお客様から胸が熱くなるお話しをお聞きしました。
もし、あなたが何らかの事情で経済状態が苦しく、お布施に包む金額が少ないかもしれない・・・と悩まれているのなら、この方の話が少しだけお役に立つかもしれません。
羞恥心や見栄を捨てて住職に話す
誰でもそうですが、経済的に苦しい時、お布施にたくさん包みたくても、無い(お金が無い)袖は振れません。
そんな時は、お布施にあなたが用意できる精一杯の金額を包んで、事前にお寺に出向き、ご住職に相談するという方法があります。
妻との突然の別れ
今から十三年前、突然の事故で奥様が亡くなられた方のお話しです。
その頃、男性は体調を崩していて長期の療養生活をされていたそうです。
仕事も休職していたため、奥様のパート代がすべてで家計は火の車だったそうです。
亡くなった奥様の通帳には、当然わずかな残金しかなく、とても数十万円ものお布施が包める状態ではなく、男性は、悩んだ末、三万円を入れたお布施を持ってお寺に行かれたそうです。
そして、ご住職に頭を下げ、
生活が困窮しております。
ですが、長年つくしてくれた妻を精一杯、供養してやりたいと思っています。
少なくて心苦しいんですが、これで葬式をやっていただけないでしょうか?
とお願いされたそうです。
ご住職は、
と言って、優しい笑顔で引受けて下さったそうです。
男性は、ありがたくて涙が止まらなかったそうです。
三万円のお布施を受け取ったご住職の想い
その後、男性は退院され、仕事に復帰され一生懸命働かれ生活も落ち着かれたそうです。
そして先日、無事、奥さまの十三回忌を終えられました。
当時を振り返り、ご住職からこんなことを言われたそうです。
お願いされました。
人によっては、葬儀の後に、
『これしか用意できなかったので・・・』
と言って、渡される方もいらっしゃいますが、
奥さまを想う気持ちと、
男気に、私は心動かされたんですよ
と。
男性は、ご住職の言葉に当時を思い出し、目頭が熱くなったそうです。
お布施の金額に悩んだ時は
この男性のような経験をされる方は、少ないかもしれません。
とはいえ、生活が苦しくて一人で「お布施にいくらいれるべきか」と悩まれている方もいると思います。
もし、お布施の金額について迷われたなら、まずお寺のご住職に相談されるのも一案ということをお伝えしたかったのです。
どうしても、親戚や兄弟姉妹にお布施の相場を聞かれる方が多いと思うんですが、たとえ親戚や兄弟姉妹でも経済状態や生活状況は、どの家庭も違います。
参考程度に聞かれるのはいいんですが、言われた金額が包めなくても悩む必要はないということを私は言いたいのです。
もちろん、中には、断られるご住職もいらっしゃるかもしれません。
お布施金額を明確に提示されるお寺さんもいらっしゃいますので、その場合は、お寺さんとよくご相談なさって下さい。
ですが、本来、お寺は「傷ついた辛い人や迷いや不安を抱えた方達の拠り所」のはずです。
ご住職が、あなたの想いに寄り添って頂けることを私は信じたいです。
こちらの記事も、あなたのお役に立てるかもしれません。
◆お布施の金額が知りたい!相場に惑わされないために◆
あとがき
実は、先ほど男性の話には続きがあるんです。
男性には、男手ひとつで一生懸命育てられた息子さんがいらっしゃいました。
息子さんが、社会人になった今年、生活が苦しかった当時、お布施を三万円しか包めなかったことや、ご住職への恩を息子さんに話して聞かされたそうです。
それから数ヶ月後、奥さまの十三回忌の時に、男性が用意していたお布施に
と、息子さんが男性に十万円渡されたそうです。
人の想いというのは、こうやって引き継がれるものなんだなぁ~と、胸が熱くなりました。
お布施と聞くと、どうしてもお寺に支払う代金のように思われて、金額の相場ばかり、ひとり歩きしてしまう傾向があります。
お金は大切です。
だからこそ、数字ばかり気にするのではなく、故人への想いを心の限りさせて頂くという気持ちもお布施なんじゃないかな、と私はこの男性の話を聞いて感じました。
とてもデリケートなことですので、賛否両論あると思います。
ただ、この男性のような体験を聞いて心救われる方が一人でもいればいいな。という思いで、これからも書いていこうと思います。
この記事が少しでも、あなたのお役に立つことと、あなたの幸せを心から祈っています。