お仏壇の掃除がしたいけど、やり方がわからない方って意外と多いんです。
実は先日も、私の働いている仏壇店でお客様がこんな質問をされました。
何かとためらいがちな仏壇掃除ですが、いくつかのポイントを守れば決してむずかしいものではありません。この記事を参考に、ぜひあなたも安心して仏壇のお掃除をなさってください。
仏壇だからといって、身構えなくても大丈夫です。もちろん、気をつける部分や、やらない方がいいこともありますが、仏壇の掃除も他の掃除と基本は同じです。
では、この順番に説明していきますね。
唐木(からき)仏壇って、どんな仏壇?と思われますよね?
ざっくり言って下記の画像ように外観が「木」の仏壇です。
仏壇を掃除は、できるだけ天気のいい日にしましょう。
「雨の日にやってはいけない」というわけではありませんが、雨の日は湿気が窓を開けると入りやすくなります。
もし、雨の日にされる場合は、湿気に気をつけながら行って下さい。
「お断りをする」と言っても、お寺さんを呼ぶ必要も親戚を呼ぶ必要もありません。
仏壇掃除をするために、ご本尊様やお位牌、仏具を仏壇の外に出すわけですから、その前に、お線香をあげて手を合わせて下さい。
そして「今日は仏壇をお掃除させていただきます。ちょっとパタパタしちゃいますが、心を込めてお掃除をさせて頂きますね」
といった感じでいいですので、ひと言、お断りをしておくと気持ちよくお掃除ができます。
仏壇掃除をする前に、デジカメでもスマホでもいいですので仏壇の写真を撮っておくことをおすすめします。
仏壇掃除に慣れていて、お位牌の並べ方や仏具の並べ方に自信があれば必要ありません。
とかく人は、毎日見ていることでも、見ずに思い出そうとすると「どうだったっけ?」とか「多分、こうだったと思う」といったように、曖昧な記憶の中で生活しているものです。
写真があると仏壇掃除が終わってから、お位牌や仏具を並べる際、きっと役に立ちますよ。
最近は、便利なグッズもたくさん販売されています。
私は下記の10点あれば、通常の仏壇掃除は十分できると思いますのでご紹介しておきます。
まず、仏壇の中にある仏具をすべて仏壇の外に出しましょう。
その方が、障害物がなくなって「掃除がしやすい」という利点もありますし、後で仏具をチェックする時に傷んでいる箇所を発見しやすくなります。
但し、吊灯篭など「簡単に外せない」と思ったものは無理にはずさないで下さい。
配線コードなどありますし、無理に引っ張るとショートしたりして危険ですので自信がなければやめておきましょう。
掃除の基本は、上から下へやっていきましょう。
ホコリもゴミも上から下へ落ちていきます。下からやると上の部分の汚れが落ちてきて、2度手間になりますので上部から順番に掃除した方が効率的です。
仏壇の各部分の掃除をする前に全体のホコリを軽く取っておきましょう。
ここでは、汚れを落とそうと思わずホコリを取るだけと思って軽く上から下へ行って下さい。
仏壇の上置き部分とは、この部分です。
まず、仏壇の天井は、身長より高い部分になると思いますので引越しなどで仏壇を移動する時以外は危ないですので、されなくてもいいと思います。
また、仏壇掃除に水拭きは厳禁ですので、バケツや濡れ雑巾など絶対使わないで下さい。
では、各部位ごとにお掃除をすすめていきましょう。
ここの部分は、人間の顔で例えると「額」のような部分です。
そんなに汚れはついていない部分ではありますが、経年の線香のススやホコリでくすんでいることがありますので、ホコリを取った後、使い古したTシャツや肌着を切った布に、ピカール「仏壇クリーム」を適量しみ込ませ、円を描くように拭いていきましょう。
拭き終わったら、軽く乾拭きをして、仕上げにストッキングを丸めて軽く拭いていくとさらにピカピカになります。(決してゴシゴシこすらないように)
欄間部分は、かなりデリケートですので注意が必要です。
欄間は大きく分けて「彫(ホリ)欄間」と「筬(オサ)欄間」があります。
彫欄間の掃除のやり方
丁寧に仏壇掃除の筆で、軽くホコリを落とします。
正直、これだけで私は十分だと思います。笑
細かい作業に自信のある方は、爪楊枝などを使って細部の掃除をされてもいいんですが、掃除に熱が入るとムキになってゴミを取ろうとしてしまうんです。
これって、破損原因ナンバー1なんです。涙
「多少の汚れは経年のご加護の積み重ねなんだ」くらいの大きな気持ちで彫刻部分の掃除をして下さいね。
筬欄間の掃除のやり方
筬欄間の掃除は、彫欄間に比べると若干、楽です。
ただ、いくら楽と言っても乱暴な掃除をすると破損しますので決してしないで下さい。
彫欄間と同じように、丁寧に仏壇掃除の筆で、軽くホコリを落とします。
それから、使い古したTシャツや肌着を約5cm角に切ってに、ピカール「仏壇クリーム」を適量しみ込ませ、上から下へ拭いていきましょう。
横方向に拭くとクリームが溝に入りやすくなって、もうひと手間かかってしまいますので、縦方向のみで拭いていきましょう。筬欄間の枠も軽く拭きましょう。
拭き終わったら、軽く乾拭きをして、仕上げに筬欄間の枠の部分だけ、ストッキングで軽く拭いていくとさらにピカピカになります。
仏壇に付いている勾欄は、ほとんど外せるようになっていますので、そっと外しましょう。
丁寧に仏壇掃除の筆で、ホコリを落とします。
それから、ピカール「仏壇クリーム」を少量キャップに移し、綿棒を使って勾欄を拭きます。
デリケートな彫刻の勾欄もありますので、無理!と感じたらホコリを取るだけで十分です。
両側の勾欄を拭き終わったら、カットした使い古したTシャツや肌着で軽く拭きます。
最後に、軽くストッキングで拭き上げるとピカピカになりますが無理はしないように。
3.の勾欄は外したままの状態で上段の掃除をしましょう。
サッサを1枚取り出し、4等分にカットし、それを半分に折って上段を拭きましょう。
それから、適度な大きさにカットした使い古したTシャツや肌着にピカール「仏壇クリーム」を付け軽く拭きます。
拭き終わったら、軽く乾拭きをして、ストッキングで磨くとピカピカになります。
中段も上段と同じ手順で掃除して下さい。
前段も上段と同じ手順で掃除して下さい。
仏壇によっては、前段には「ねこ戸」と呼ばれる小さな引き戸があるものもあります。
取り外せるようでしたら取り外して、同様にホコリを取り、クリーム付の布で拭き、乾拭き後、ストッキングを使って磨き上げて下さい。(無理なら取り外さずそのままで)
仏壇の障子にも欄間のように「彫障子」と「筬障子」があります。
彫障子の彫刻付近は、デリケートですので軽くホコリを取る程度にしておきましょう。
障子には、紗(シャ)と呼ばれるレースのような布が貼られていますので、破れないように気をつけましょう。
可能であれば、障子の枠部分だけ、適度な大きさにカットした使い古したTシャツや肌着にピカール「仏壇クリーム」を少量付け軽く拭き、ストッキングで磨くとピカピカになります。
筬障子も彫障子同様、丁寧にホコリを取り、可能であれば、障子の枠部分だけ、適度な大きさにカットした使い古したTシャツや肌着にピカール「仏壇クリーム」を少量付け軽く拭き、ストッキングで磨くとピカピカになります。
大戸は、障子の外側に付いている扉のことです。(仕込み型仏壇には付いていません)
大戸の掃除は、1.の笠(カサ)と同じ手順で行って頂ければきれいになります。
仏壇の膳引きは、お膳やお供え物を供える時に、引き出して使います。
ほとんどの膳引き部分は、ゆっくり手前に引っ張ると抜けますので、掃除の時は外しましょう。
サッサを1枚取り出し、膳引き全体を丁寧に拭きましょう。
ホコリを取った後、使い古したTシャツや肌着を適度な大きさにカットし、ピカール「仏壇クリーム」を付け軽く拭きます。
汚れがこびりついている時は、再度ピカール「仏壇クリーム」のついた布で拭いてみて、取れなければ、あきらめましょう。
拭き終わったら、軽く乾拭きをして、ストッキングで磨くとピカピカになります。
仏壇の下台部分とは、この部分です。
上置き部分に比べるとお掃除は簡単です。
下台部分の引き戸や引き出しなどすべて外して、各パーツごと掃除しましょう。
引出し部分は取り出し、新聞紙の上で逆さにしてゴミを落としましょう。
内側は、軽くサッサで拭く程度でOKです。
内側部分は、白木仕様が多いのでくれぐれも濡れた雑巾などで拭かないように。
シミやカビの原因になります。
その後、引き出しと引き戸の表面部分のみ、1.笠(カサ)と同じように掃除をして、ピカピカに磨き上げましょう。
金仏壇は、読んで字のごとく金箔や金粉で装飾された下記の画像のような仏壇のことです。
金仏壇の場合、漆や金箔などの取り扱いに慣れていない方は、かなり慎重に掃除をしなければいけません。
脅すわけではありませんが、よかれと思ってやった掃除のはずなのに多額の補修費用がかかってしまうということもあるからです。
下記の写真は、金仏壇の掃除の時に内側を拭いてしまい金箔が剥げてしまった状態です。
この時は、お客様のご自宅に職人を派遣し金箔貼りの修繕を行いました。
とても綺麗に修復できましたが、約15万円もの修繕費用がかかりました。(>_<)
このようなこともあるので、金仏壇は、素人が簡単に掃除しない方がいいと思います。
とは言っても、まったくできないわけではありません。
ただ、金仏壇は、自分で掃除できる部分が少ないと思って下さい。
ここでは最低限、自分で気をつければできる程度のお掃除のやり方のみを書いておきます。
下記の3項目は「唐木仏壇のお掃除のやり方」の章で、ご説明しています。金仏壇のお掃除にも共通する事ですので再度ご覧下さい。
先程も言ったように、金仏壇は自分でできる掃除部分は少ないです。
そのため、お掃除用品も下記の2点のみです。
金仏壇の黒い部分は、ペンキや墨ではありません。
とても高度な技術を習得した職人が、土台に何度も何度も漆(うるし)を重ね塗りして磨きをかけ来上がった色です。
ですから、濡れ雑巾で拭いた後が乾くと「拭き跡」として残ってしまいます。
また、少しでも水分が金具などに残るとサビの原因になる恐れもあります。
金色の部分や金の蒔絵は、前項でも説明しましたが、万が一掃除中に剥げてしまった場合、高額な修繕費が必要になってしまいます。
以上のことから、金仏壇を掃除する際、この3点は絶対にやらないようにして下さい。
まず、唐木仏壇の掃除のやり方と同じように仏壇の中にある仏具をすべて仏壇の外に出しましょう。
金仏壇の場合、障害物がなくなり「掃除がしやすい」という利点の他に、仏具を落として仏壇を破損させないという目的もあります。
特に、吊灯篭や瓔珞(ヨーラク)、盛菊輪灯(モリギクリントウ)など「簡単に外せない」と感じたものは、絶対に自分では、外さないで下さい。
仏壇掃除が終了したら、新しいお花を飾りお線香を供えて「お掃除が終わりました」とご報告しましょう。きっと、ご本尊様もご先祖様も喜んで下さいますよ。
毎日忙しくて、お掃除する時間がない方や、自分で掃除をするのが不安な方は、思い切って
専門業者に依頼することをオススメします。
では、仏壇掃除をしてくれる専門業者とは・・・?
それはズバリ、私の職場でもある「仏壇仏具店」です。
私の働いているお店でも、もちろん仏壇のお掃除を承っています。
仏壇仏具店では、簡単な仏壇掃除でしたら直接お教しえできますし、大がかりなクリーニングや補修も可能です。(できない場合もあります)
まずは、あなたのお近くの仏壇店に遠慮なく相談してみてはいかがですか?
きっと親切に教えて頂けますよ。
他にも、複数の仏壇仏具店で仏壇クリーニングの見積りを取ったり、知り合いの方で仏壇クリーニングをされた方がいらっしゃれば話を聞いてみるのもいいと思います。
また、仏具だけのお掃除方法の記事も書いてますので合わせてお読みくださいね。
>>仏具がピカピカに!素人でも簡単にできる掃除を3分で解説!
仏壇掃除のやり方、おわかり頂けましたでしょうか?
「全然、簡単じゃないじゃん!」と思われた方もいらっしゃると思います。
その気持ちよ〜くわかります。笑
一案ですが、仏壇掃除を1日で全部やろうと思わないで、部分部分で区切り「少しずつ無理ないお掃除をする」のがいいと思います。
そして「完璧にやろうとしないこと」これが一番です。
きれいにしたいという気持ちはわかりますが「汚れを取ることだけ」に集中しないで、「日々お守り頂いていることへの感謝の気持ち」を形にしたものが掃除だと思ってみてはいかがでしょう?
わかりやすく言うと、あなたの目にとまったホコリをテッシュで取る程度でもいいんです。
また、お掃除をさせて頂くことで自分の中の我(が)をきれいにしてもらっているとも言われています。
仏壇掃除の基本的なことのみお伝えしましたが、あなたなりのやり方で楽しくお掃除していただくのが一番いいと私は思っています。
この記事が少しでも、あなたのお役に立つことと、あなたの幸せを心から祈っています。